細胞診検査・判定基準

婦人科材料
【外陰部・膣壁・子宮膣部・頚部・膣断端部】 ベセスダシステム

その1:扁平上皮系

結果 略語 判定される
病理診断
英語表記
検体不適正 検体適正の条件「保存状態が良く、鮮明に見える扁平上皮細胞が直接塗抹法では8,000〜12,000個、LBC法の場合は5,000個以上である」を満たしていないと判断した場合は、「検体不適正」といたします。
検体適正 陰性 NILM 非腫瘍性所見、
炎症
Negative for intraepithelial lesion or malignancy
意義不明な異型
扁平上皮細胞
ASC-US 軽度扁平上皮内
病変疑い
Atypical squamous cells of undetermined significance (ASC-US)
HSILを除外できない
異型扁平上皮細胞
ASC-H 高度扁平上皮内
病変疑い
Atypical squamous cells cannot exclude HSIL (ASC-H)
軽度扁平上皮内病変 LSIL HPV感染
軽度異形成
Low grade squamous intraepithelial lesion
高度扁平上皮内病変 HSIL 中等度異形成
高度異形成
上皮内癌
High grade squamous intraepithelial lesion
扁平上皮癌 SCC 扁平上皮癌 Squamous cell carcinoma

その2:腺細胞系

結果 略語 判定される
病理診断
英語表記
検体適正 異型腺細胞 AGC 腺異型または
腺癌疑い
Atypical glandular cell
上皮内腺癌 AIS 上皮内腺癌 Adenocarcinoma in situ
腺癌 Adenocarcinoma 腺癌 Adenocarcinoma
その他の悪性腫瘍 other
malig
その他の悪性腫瘍 Other malignant neoplasms
※細胞量不足による検体不適正を減少させるために、採取器具は綿棒でなくブラシを推奨いたします。

【子宮内膜】
判定 推定組織像
陰性
(negative)
異型内膜細胞は見られない
(良性内膜細胞)
疑陽性
(suspicious)
異型細胞は認めるが悪性の疑いは薄い。  子宮内膜増殖症を想定する。
悪性を疑うが断定はできない。      子宮内膜異型増殖症を想定する。
陽性
(positive)
きわめて強く悪性を疑う。
明らかな悪性細胞を多数認める。
一般材料
【喀痰・尿・体腔液・穿刺液・洗浄液・その他】
判定 推定組織像
陰性
(negative)
Absence of atypical or abnormal cells
異型または異常細胞を認めない
Atypical cytology but no evidence of malignancy
異型または異常細胞を認めるが悪性の疑いのないもの
疑陽性
(suspicious)
cytology suggestive of, but not conclusive for malignancy
悪性の疑いのある異型細胞を認めるが悪性と断定できない
陽性
(positive)
Cytology strongly suggestive of malignancy
悪性細胞と判断しうるが、比較的悪性の特徴に乏しくかつ少数である。
Cytology conclusive for malignancy
明らかな悪性細胞を多数認める
乳腺ガイドライン分類
判定 細胞所見
検体不適正 標本作製不良(乾燥、固定不良、細胞挫滅・破壊、未血混入、厚い標本)、または病変を推定するに足る細胞が採取されていないため診断が著しく困難な標本を指す。
不適正とした標本はその理由を明記すること。
検体適正 正常あるいは良性 正常乳管上皮および線維腺腫、乳管内乳頭腫、乳腺症、葉状腫瘍(良性)、のう胞、乳腺炎、脂肪壊死などが含まれる。
鑑別困難 細胞学的に良・悪性の判定が困難な病変を指す。
乳頭状病変(乳管内乳頭腫、乳頭癌)、上皮増生病変(乳管過形成、ADH、低異型乳癌:篩状型等)、上皮結合織増生病変(葉状腫瘍:境界病変、一部の乳腺症型線維腺腫)など良・悪性判定が困難な細胞群が本区分に含まれる。
悪性の疑い 主として異型の少ない非浸潤癌や小葉癌などが本区分に含まれる。
悪性 乳癌、非上皮性悪性腫瘍などが本区分に含まれる。
甲状腺ガイドライン分類
判定 該当する所見および疾患
検体不適正 標本作製不良(乾燥、変性、固定不良、未梢血混入、塗抹不良など)のため、あるいは病変を推定するに足る細胞成分が採取されていない(コロイド、泡抹細胞、濾胞上皮、腫瘍細胞のいずれも全く認められないか、あるいはごく少量)ため細胞診断不能な標本を指す。
検体不良とした標本は、その理由を明記する(例:細胞少数、細胞の乾燥や変性、末梢血混入、塗抹不良など)。
不適正とした標本はその理由を明記すること。
検体適正 正常あるいは良性 悪性細胞を認めない標本を指す。
本区分には、正常甲状腺、襄胞、腺腫様甲状腺腫、バセドウ病、甲状腺炎(急性・亜急性・慢性・リーデル)などが含まれる。
鑑別困難 細胞学的には良・悪性の鑑別が困難な標本を指す。
本区分には、濾胞性腫瘍(好酸性腫瘍を含む)で腺腫と癌との鑑別が困難な標本、濾胞腺腫と濾胞型乳頭癌との鑑別が困難な標本、腺腫様甲状腺腫と乳頭癌との鑑別が困難な標本、腺腫様甲状腺腫と濾胞性腫瘍との鑑別が困難な標本、橋本病と悪性リンパ腫との鑑別が困難な標本、橋本病の好酸性細胞と癌との鑑別が困難な標本などが含まれる。
悪性の疑い 悪性と思われる細胞が少数または所見が不十分なため、悪性とは判断できない標本を指す。
本区分には、種々の悪性腫瘍が含まれるが、その多くは乳頭癌である。なお良性疾患で本区分に含まれる可能性のあるものとしては、異型腺腫、腺腫様甲状腺腫、橋本病などがあげられる。
悪性 各々の組織型に応じた細胞所見を示す悪性細胞を認める標本を指す。
本区分には、乳頭癌、濾胞癌、低分化癌、未分化癌、髄様癌、悪性リンパ腫、転移癌などが含まれる。
肺ガン検診(ABC分類)
判定 細胞所見 指導区分
A 喀痰中に組織球を認めない 材料不適(要 再採取)
B 正常上皮細胞のみ
基底細胞増生
経度異型扁平上皮細胞
繊毛円柱上皮増生
現在異常を認めない
次回定期検査
C 中等度異型扁平上皮細胞、又は核の増大や濃染を伴う円柱上皮増生 程度に応じて6ヶ月以内の再検査と追跡
D 高度異型扁平上皮細胞、又は悪性腫瘍の疑いのある細胞を認める ただちに精密検査
E 悪性腫瘍細胞を認める
各判定基準は(公社)日本臨床細胞学(編)「細胞診ガイドライン2015」に準拠します。