病理組織検査・判定基準

提出材料(臓器)により、原則として癌取扱い規約に準じて行います。

病理組織検査の固定方法及び注意事項

Notes and fixing method for Histological examination
検体提出時のご注意
  • 乾燥した組織や、結石、虫体などは病理診断の対象となりませんので、ご注意下さい。
  • 解剖材料の診断は実施致しませんので、ご注意下さい。
  • 妊娠12週を超える胎児及びそれに相当する大きさの胎児は、標本作製致しませんのでご了承下さい。確認後返却致します。
  • 組織の形態を維持する為、入り口の狭いビン等は、検体を取り出す際に組織が傷つく恐れがありますので組織を入れる容器は十分な大きさのものをご使用下さい。
検体の提出方法

ホルマリン固定組織の方法

10〜20%ホルマリン液にて固定し、室温にて保存して下さい。
※固定容器は密閉式の物を用い、漏出のないように蓋をして下さい。

1)小組織片(肝・腎・気管支・胃・腸等の生検材料)

生検材料は、採取後すぐに所定の容器に入れ提出して下さい。
数箇所の部位から採取されるときには個々の区別が困難となりますので、採取部位(各ナンバー)毎に、容器に入れて提出して下さい。

提出方法
2)子宮内膜・子宮内容物など

(血液・粘液等で固定液が汚れやすい材料)

提出容器には組織の2倍〜3倍の固定液を入れて下さい。
また、検査材料が多い時には固定液が組織内へ浸透し易くする為に数個の容器に分けて下さい。


3)手術材料(胃・腸管等の消化器系組織)

組織を切開後、粘膜面を上にし、木板あるいはゴム板に広げ、虫ピンで止めて固定液に入れます。
(板が浮いてしまう場合は重石をするか裏向きにし固定して下さい。)

胃の切除検体
大腸の切除検体
4)手術材料(子宮)

前面よりY字型に切開して固定液に入れます。

子宮摘出検体
5)厚みのある大きな臓器の場合(肺や乳腺、腎など)

皮膜を持つものや大きな腫瘤では固定液が内部まで浸透しにくく、腐敗して診断困難となる事がありますので、内部にホルマリンを注入して頂くか、切出し方法に従って割面を入れ板に貼り付けて下さい。
乳腺の場合、検体の方向が重要な為、頭側(12°側)に短い糸、腋窩側に長い糸を付け、部分切除の場合は、乳頭側へ2本付けるなど方向を明確にして下さい。

6)郭清リンパ節

部位番号あるいは部位名を明記し、別々の容器で固定後、ご提出下さい。

凍結組織の提出方法

  • 組織の切り出し
    切除された組織の必要部分を15×10×5mm以内の大きさにトリミングします。
  • 組織の包理
    専用包理皿(クリオモルドなど)に凍結用包理剤を入れ、組織を包理皿の底に沈めます。
    腎生検は、底に水平になるように沈め、皮膚その他の組織は、標本にしたい面を下にして、底に対し水平に下まで沈めて下さい。
  • 組織の凍結
    「液体窒素・イソペンタン」または「ドライアイス・アセトン」による急速凍結を行って下さい。(下図)
  • 組織の保存・提出方法
    凍結の完了した組織は、アルミホイルにて包み、密栓のできる容器に入れ、深冷凍結状態に保存して下さい(−70℃)。
    長期保存では凍結乾燥および氷結晶出現をみることがありますので、速やかにご提出下さい。
a. 液体窒素による方法 b. ドライアイス・アセトンによる方法